アフターピルはどうやって効く?妊娠を防ぐ割合は?
緊急避妊薬が体の中で何をしているのか、どのくらい妊娠を防げるのかを、添付文書・日本産科婦人科学会の指針・WHOの資料から説明します。数字には、どんな試験で出たものかを添えます。
- 効き方は、主に排卵(卵子が出ること)を抑えたり、遅らせたりすることによると考えられています。
- 妊娠阻止率は、国内の試験で81.0%、海外の試験で84%でした(避妊に失敗してから72時間以内に飲んだ試験)。
- 完全には防げません。すでに成立した妊娠には効果が期待できず、飲んだあとの性行為による妊娠も防げません。
アフターピルは体の中で何をしている?
妊娠は、排卵された卵子が精子と出会って受精し、その受精卵が子宮の内側にくっつく(着床する)ことで始まります。緊急避妊薬の成分レボノルゲストレルは、この流れのはじめのほうに働くと考えられています。
添付文書は、主に排卵を抑える作用で避妊の効果を示すと示唆された、と書いています。そのほか、受精を妨げる作用や、受精卵の着床を妨げる作用がかかわる可能性もあるとしています。これは動物などでの試験(非臨床試験)にもとづく記載です。
日本産科婦人科学会の指針は、仕組みは十分には分かっていないとしたうえで、効果は着床を妨げるよりも、主に排卵を抑える・遅らせることによると考えられる、としています。WHOも、緊急避妊薬は排卵を防ぐか遅らせる薬だとしています。
中絶の薬とは違うの?
違います。医学では、妊娠が始まるのは着床したときとされます。そのため学会は、緊急避妊薬を人工妊娠中絶の薬とは見なしていません。WHOも、緊急避妊薬は中絶を起こさず、すでに成立した妊娠を止めることもないとしています。
添付文書も、すでに妊娠している人には効果が期待できないとしています。妊娠したあとに使う経口中絶薬との違いは、よくある誤解のページで表にしています。
81.0%と84%はどういう数字?
どちらも、添付文書に載っている試験の結果です。数字の出し方が少し分かりにくいので、ていねいに見ていきます。
| 試験 | 条件 | 結果 |
|---|---|---|
| 国内の試験(第III相) | 解析した63人 | 妊娠したのは1人。妊娠阻止率81.0% |
| 海外の試験(第III相) | 避妊に失敗してから0〜72時間に飲んだ1,198人 | 妊娠したのは16人(1.34%)。妊娠阻止率84% |
「妊娠阻止率」は「飲んだ人の81%が妊娠しなかった」という意味ではありません。まず、生理の周期のどの日だったかをもとに、薬を飲まなかったら何人が妊娠したかの見込みの数を出します。その見込みの数のうち、実際にはどれだけ妊娠を防げたかを割合にしたものです。
国内の試験では、63人のうち実際に妊娠したのは1人でした。それでも阻止率が100に届かないのは、見込みの数と比べた割合だからです。販売会社は、これを「約8割の確率で妊娠を防ぐ」と説明しています。
試験の人数は限られています。数字は「この条件で試したらこうだった」というもので、一人ひとりに当てはまる確率ではありません。
なぜ完全には防げないの?
添付文書は、緊急避妊薬では完全には妊娠を防げないと書いています。学会の服用者向けの資料も、数%の人は妊娠するとしています。販売会社のサイトにも、効果を保証するものではないと書かれています。
資料からは、いくつかの理由が読み取れます。まず、すでに成立した妊娠には効果が期待できません。また、WHOは早く飲むほど効果が高いとしており、飲むのが遅れるほど不利になります。
さらに、飲んだあとのこともあります。薬はその1回の失敗に対して使うもので、その周期の残りの期間を守るものではありません。学会は、次の生理までは効果のある避妊法を使うか、性行為を控えるよう助言しています。
だからこそ、飲んだあとに妊娠していないか確かめることが大切です。薬局で受け取ると、飲んでから3週間後をめどに妊娠検査薬を使うか受診するよう説明されます。くわしくは飲んだ後のページへ。
効果が期待できない・弱まるのはどんなとき?
添付文書や学会の指針に書かれている主な場面をまとめます。当てはまるかどうかは、自分で決めずに医師か薬剤師に伝えてください。
| 場面 | 資料に書かれていること |
|---|---|
| すでに妊娠している | 成立した妊娠には効果が期待できない(添付文書) |
| 飲んだあとに避妊せず性行為をした | その妊娠は防げない(学会の指針) |
| 重い胃腸の病気や、栄養を吸収しにくい病気がある | 効果が期待できないおそれがある(添付文書) |
| 肝臓の薬物代謝酵素を強める薬を飲んでいる | 効果が弱まるおそれがある(添付文書)。学会は、その薬をやめてから28日間も影響が残る可能性があるとしている |
| BMIが30を超える | 効果が下がる(WHO)。日本の添付文書には記載なし |
効果を弱めるおそれがある薬として、添付文書は、抗けいれん薬(フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、カルバマゼピン)、リトナビル、エファビレンツ、リファブチン、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む食品をあげています。肝臓の酵素を強めない抗生剤では、効果は弱まらないと学会はしています。飲んでいる薬があるときは、薬の名前を伝えてください。一覧は副作用と飲めない人にあります。
飲んで2時間以内に吐いてしまったときの対応は、受け取った場所で違います。飲んだ後のページで確かめてください。
体重が多いと効かないの?
日本の添付文書には、体重やBMI(体重と身長から出す体格の目安)についての記載はありません。
WHOは、BMIが30を超える人では、レボノルゲストレルの緊急避妊薬の効果が下がるとしています。ただし、安全性の心配はなく、太っていることを理由に、必要なときに緊急避妊を断られるべきではない、ともしています。
体格が気になるときは、受診のときや薬局で相談してください。ほかの方法が合うかどうかも含めて、医師が説明します。日本で使える方法は日本で使える緊急避妊の方法にまとめました。
よく出る疑問
「約8割」は、10人のうち2人が妊娠するという意味ですか?
違います。妊娠阻止率は、飲まなかった場合に見込まれる妊娠の数のうち、どれだけ防げたかの割合です。国内の試験では63人中1人、海外の試験では1,198人中16人が妊娠しました。
飲んだあと、その周期はもう避妊しなくていいですか?
いいえ。緊急避妊薬は、その周期の残りの避妊を約束するものではありません。飲んだあとの性行為による妊娠は防げないため、次の生理までは効果のある避妊法を使うよう学会は助言しています。
2回目に使うと効き目が落ちますか?
同じ周期に2回以上使うことはありえます。国の審査では、重ねて使うことを禁じる科学的な根拠は乏しいとされました。ただ、何度も使うよりも、ふだんの避妊法を考えることが勧められています。くわしくは医師か薬剤師に相談してください。
着床を止める薬なのですか?
添付文書は、着床を妨げる作用がかかわる可能性にも触れています。ただ学会は、効果は主に排卵を抑える・遅らせることによると考えられるとしています。すでに成立した妊娠には効果が期待できません。
- ノルレボ錠1.5mg 添付文書(医療用・2022年2月改訂 第2版)医薬品医療機器総合機構(2026年10月9日に確認)
- 日本産科婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針(令和7年改訂版)」(2025年4月)(2026年10月9日に確認)
- WHO Fact sheet "Emergency contraception"(2021年11月9日更新)(2026年10月9日に確認)
- 厚生労働省 審議結果報告書・審査報告書 ノルレボ(要指導医薬品)(2026年10月9日に確認)
- 厚生労働省 通知(2025年9月18日 医薬総発0918第2号・医薬薬審発0918第3号)(2026年10月9日に確認)
- 第一三共ヘルスケア「ノルレボ」Q&A(2026年10月9日に確認)
このページは、添付文書や国・学会の資料など公開された情報をまとめたものです。一人ひとりの状況(飲めるかどうか・妊娠の可能性)は判断できません。飲むかどうか、飲んだ後のことは、医師か薬剤師に相談してください。当サイトは医療機関・薬局の紹介も、薬の販売もしていません。