医薬品副作用被害救済制度とは?緊急避妊薬を使う人が知っておくこと
薬は正しく使っていても、副作用を防げないことがあります。そのときのための国の仕組みが「医薬品副作用被害救済制度」です。窓口は独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)です。
- 医薬品を適正に使ったのに、副作用で入院治療が必要になるほどの健康被害などが出たとき、医療費や年金などが給付されます。
- 病院や診療所で出された薬だけでなく、薬局などで買った薬も対象です。
- 個人輸入した薬による健康被害は、対象になりません。
- 請求は、被害を受けた本人がPMDAに直接行います。医療費は、支払ったときから5年以内など、給付ごとに期限があります。
相談は PMDA の救済制度相談窓口(0120-149-931、月〜金の午前9時〜午後5時。祝日・年末年始を除く)で受け付けています。
医薬品副作用被害救済制度はどんな制度?
この制度は1980年に作られた公的な仕組みです。今は、医薬品医療機器総合機構法という法律にもとづいて、PMDAが運営しています。
目的は、医薬品を適正に使ったにもかかわらず副作用で健康被害を受けた人を、すばやく救うことです。被害を受けた本人や遺族が、自分で請求する仕組みになっています。
給付のお金は、医薬品の製造販売業者などが出す「拠出金」でまかなわれています。PMDAの事務の費用のうち、この制度の分の半分にあたる額は、国の補助金です。
PMDAの発表では、令和7年度に決定した請求は1,577件でした。そのうち支給は1,294件(82.1%)、不支給は246件(15.6%)、取り下げが37件(2.3%)です。請求すれば必ず給付されるわけではなく、1件ずつ審査されます。
どの程度の健康被害が対象になる?
対象は、副作用によって次のどれかにあたる場合です。
| 健康被害の程度 | 受けられる給付 |
|---|---|
| 入院治療が必要な程度の病気になり、医療を受けた | 医療費・医療手当 |
| 日常生活が著しく制限される程度の障害が残った | 障害年金・障害児養育年金(18歳未満の人を養育する人へ) |
| 亡くなった | 遺族年金・遺族一時金・葬祭料 |
給付は全部で7種類です。給付の額は種類ごとに決まっています(PMDA「制度の種類」による)。
「入院治療が必要な程度」は、基本は実際に入院した場合です。ただ、入院が必要なのに事情があって外来で同じような治療を受けた場合も、対象になることがあります。反対に、入院していても、副作用の病気だけを見ると入院するほどではないときは、対象になりません。
医療費の給付は、副作用の治療で払った保険診療の自己負担分が対象です。差額ベッド代や診断書などの文書料のような保険の外の費用、食事の標準負担額は対象になりません。
緊急避妊薬で副作用が出たときも対象になる?
日本で承認された緊急避妊薬は、医療用の処方箋医薬品(ノルレボ錠1.5mgと後発品)と、2026年2月2日から薬局で売られている要指導医薬品です。PMDAは、病院・診療所で処方された薬に加えて、薬局などで買った薬も制度の対象に含むとしています。
ただし、どの薬でも条件は同じです。大事なのは「適正な使用」だったかどうかです。PMDAは、適正な使用とは、原則として容器や添付文書に書かれた効能・効果、用法・用量、使用上の注意に従って使うことだと説明しています。個別の事例は、今の医学・薬学の水準から総合的に判断されます。
緊急避妊薬の添付文書に書かれた主な副作用は、薬のあとの出血(消退出血)、不正な出血、頭痛、吐き気などです。くわしくは副作用のページにあります。こうした症状が入院を必要とする程度でなければ、この制度の給付の対象にはなりません。体調が心配なときは、制度のことより先に、医療機関を受診してください。
ある薬が制度の対象除外になっていないか分からないときは、相談窓口に問い合わせるよう、PMDAは案内しています。このサイトは、給付を受けられるかどうかを判断することはできません。
救済制度の対象にならないのはどんな場合?
PMDAのQ&Aは、次の場合を対象外としています。
- 法律にもとづく予防接種による健康被害(別の公的な救済制度があります。任意で受けた予防接種は対象です)
- 製造販売業者などに損害賠償の責任があることが明らかな場合
- 救命のためにやむを得ず通常の量を超えて使い、その被害がはじめから予想されていた場合など
- 対象除外医薬品による場合(がんなど特殊な病気に使う薬で大臣が指定したもの、体に直接使わない薬など)
- 入院治療を必要とするほどではない場合、日常生活が著しく制限されるほどの障害ではない場合
- 請求の期限が過ぎた場合
- 使う目的や使い方が適正だったと認められない場合
このほか、厚生労働省は、個人輸入した医薬品による健康被害は救済の対象にならないとしています。海外から取り寄せた緊急避妊薬で体に害が出ても、この制度は使えません。その危険は個人輸入の危険のページで説明しています。PMDAは、美容医療に使われる医薬品の中にも対象にならないものがあると注意しています。
請求はどうする?必要な書類は?
請求は、健康被害を受けた本人がPMDAに直接行います(亡くなった場合は、決められた順位の遺族などが行います)。医療機関や薬局が代わりに請求する仕組みではありません。流れはおおむね次のとおりです。
- 相談窓口に連絡する。初めての人には、PMDAが制度を説明し、状況を聞いたうえで必要な書類を郵送します。書類は自分でダウンロードすることもできます。
- 医師に診断書を頼む。副作用の治療を受けた病院の担当医師に、診断書と、薬を使ったことを示す「投薬・使用証明書」を書いてもらいます。治療した病院が2か所以上なら、それぞれの医師の診断書が要ります。
- 薬局で買った薬なら、販売証明書を頼む。処方箋なしで薬局などで買った薬の場合は、購入先の薬局に「販売証明書」(薬の名前や販売した年月日などを書く書類)を書いてもらいます。
- 請求書と書類をPMDAに送る。医療費・医療手当の請求では、請求書、診断書、投薬・使用証明書または販売証明書、受診証明書などをそろえます。
- 国の部会で判定される。PMDAが厚生労働大臣に判定を申し出て、薬事審議会の副作用・感染等被害判定部会で審議されます。大臣の判定をもとにPMDAが支給するかどうかを決め、結果を文書で知らせます。
決定に納得できないときは、支給の決定を知った日の翌日から三月以内に、厚生労働大臣に審査を申し立てることができます。
請求の期限はいつまで?
期限は給付の種類ごとに決まっています。PMDAの「請求期限」のページをもとにまとめます。
| 給付 | 請求の期限 |
|---|---|
| 医療費 | 対象の費用を支払ったときから5年以内 |
| 医療手当 | 医療が行われた日の属する月の翌月の初日から5年以内 |
| 障害年金・障害児養育年金 | 期限は定められていない |
| 遺族年金・遺族一時金・葬祭料 | 亡くなったときから5年以内(亡くなる前に医療費などの支給が決まっていた場合は2年以内) |
入院が続いていて、これからも治療費を払う場合は、まず過去5年以内に払った分を請求できます。しばらく治療を続けてから、5年以内の分をまとめて請求することもできます。
緊急避妊薬を受け取るときに知っておくと役立つことは?
制度を使うことになるのはまれでも、仕組みを知っておくと、困ったときに慌てずにすみます。請求のときに必要になる書類から考えると、次のことが役立ちます。
- 薬の名前と、受け取った日・場所が分かるようにしておく。販売証明書や投薬・使用証明書には、薬の名前や日付を書きます。薬の説明の紙や受け取ったときの控えを、しばらく取っておくと確かめやすくなります。
- 国内の正規の方法で手に入れる。医療機関・オンライン診療・薬局の3つの方法なら、国の承認を受けた薬です。方法の違いは入手方法のページにあります。
- 具合が悪くなったら、まず受診する。受診したときは、緊急避妊薬をいつ飲んだかを医師に伝えてください。制度に当たるかどうかは、そのあとで相談窓口に聞けます。
相談窓口は 救済制度相談窓口(PMDA) です。電話は 0120-149-931(月〜金の午前9時〜午後5時、祝日・年末年始を除く)。IP電話からつながらないときは 03-3506-9425(通話料がかかります)にかけるよう案内されています。
よく出る疑問
飲んだ日に吐き気やだるさが出ただけでも、給付を受けられますか?
この制度の対象は、入院治療が必要な程度の健康被害などです。それより軽い症状は、対象になりません。症状がつらいときや長引くときは、制度とは別に、医療機関に相談してください。
オンライン診療で出された緊急避妊薬は対象になりますか?
医療機関で処方された医薬品は、制度の対象の範囲に入ります。ただ、給付されるかどうかは、適正に使ったか、被害の程度はどうかなどを見て、1件ずつ判定されます。迷うときは PMDA の相談窓口に問い合わせてください。
請求の書類はお金を払って取り寄せるのですか?
PMDAは、請求書や診断書の用紙を、本人や家族の申し出に応じて無料で送るとしています。PMDAのウェブサイトから様式をダウンロードすることもできます。
海外から取り寄せた薬で具合が悪くなったら、どうすればいいですか?
個人輸入した薬による健康被害は、この救済制度の対象になりません。それでも、体のことはすぐに医療機関に相談してください。飲んだ薬の箱や説明書が残っていれば、持って行くと医師が状況をつかみやすくなります。
- 医薬品副作用被害救済制度に関する業務(PMDA)(2026年10月22日に確認)
- 医薬品副作用被害救済制度 制度の概要(PMDA・一般の方向け)(2026年10月22日に確認)
- 医薬品副作用被害救済制度 制度の種類(PMDA・一般の方向け)(2026年10月22日に確認)
- 医薬品副作用被害救済制度に関するQ&A Q2「適正な使用」(PMDA)(2026年10月22日に確認)
- 同 Q&A Q4「入院を必要とする程度の医療」(PMDA)(2026年10月22日に確認)
- 同 Q&A Q7「救済の対象とならない場合」(PMDA)(2026年10月22日に確認)
- 同 Q&A Q8「請求のしかた」(PMDA)(2026年10月22日に確認)
- 同 Q&A Q9「支給決定の決まり方」(PMDA)(2026年10月22日に確認)
- 同 Q&A Q11「医療費の対象」(PMDA)(2026年10月22日に確認)
- 同 Q&A Q14「一般用医薬品の副作用」(PMDA)(2026年10月22日に確認)
- 医薬品副作用被害救済制度 請求に必要な書類(PMDA)(2026年10月22日に確認)
- 医薬品副作用被害救済制度 請求できる方(PMDA)(2026年10月22日に確認)
- 医薬品副作用被害救済制度 請求期限(PMDA)(2026年10月22日に確認)
- 対象除外医薬品等(PMDA)(2026年10月22日に確認)
- 救済制度相談窓口(PMDA)(2026年10月22日に確認)
- 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ(厚生労働省)(2026年10月22日に確認)
- ノルレボ錠1.5mg 添付文書(PMDA・2022年2月改訂 第2版)(2026年10月9日に確認)
- 緊急避妊薬の調剤・販売について(厚生労働省)(2026年10月9日に確認)
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