性感染症の検査と相談先|アフターピルでは防げないから知っておきたいこと
アフターピル(緊急避妊薬)は妊娠を防ぐための薬で、性感染症(性的な接触でうつる感染症)は防げません。この記事では、厚生労働省のページと日本産科婦人科学会の指針をもとに、検査を受けられる公的な場所と相談先をまとめました。
- 日本産科婦人科学会の指針は、緊急避妊薬も子宮内避妊具も、HIVをふくむ性感染症を予防するものではないとしています。
- 性感染症は症状が出ないことも多く、気づかないままパートナーにうつすことがあります。
- 保健所では、無料・匿名でHIV検査を受けられます。梅毒・クラミジア・淋菌なども調べられる保健所があります(項目や費用は保健所ごとに違います)。
- 性暴力の被害の場合は、警察が性感染症などの検査の費用を公費で負担する仕組みがあります。
アフターピルで性感染症は防げる?
防げません。アフターピルは、排卵を止めたり遅らせたりして妊娠を防ぐ薬です。感染症の原因になる細菌やウイルスには働きません。
日本産科婦人科学会の指針は、緊急避妊薬を処方する使う人に知っておいてほしい4つの点の一つに、「HIV/AIDSをふくむ性感染症を予防するものではないこと」を挙げています。服用者向けの資料でも、緊急避妊薬と子宮内避妊具はどちらも、エイズをはじめ梅毒・淋病・クラミジア・ヘルペスなどを予防できないと書かれています。
ふだん使う低用量ピルや子宮内システムも同じです。PMDAに載っている添付文書の冒頭には、性感染症を防ぐものではなく、感染を防ぐにはコンドームの使用が有効だと使う人に説明するよう書かれています。避妊と感染予防は、別々に考える必要があります。
性感染症にはどんなものがある?
厚生労働省のページは、性感染症を「性的な接触でうつる可能性のある感染症の総称」と説明しています。そのうえで、国の「性感染症に関する特定感染症予防指針」(2025年11月10日に改正)が対象にしている、次の5つの病気を取り上げています。
| 病気の名前 | 読み方の手がかり |
|---|---|
| 梅毒 | ばいどく |
| 性器クラミジア感染症 | クラミジアという細菌による感染症 |
| 淋菌感染症 | りんきん。淋病とも呼ばれる |
| 性器ヘルペスウイルス感染症 | ヘルペスウイルスによる感染症 |
| 尖圭コンジローマ | せんけいコンジローマ。ウイルスによるいぼ |
同じページによると、性感染症は口や性器などの粘膜や皮膚を通じてうつります。性器どうしの接触だけでなく、口などを使う接触でもうつることがあります。この5つのほかにも、性的な接触でうつる病気はあり、HIVもその一つです。
症状がなくても検査が要るのはなぜ?
厚生労働省のページは、性感染症について次のような点を挙げています。
- かゆみや痛みが出るものもあるが、種類によっては症状が出ないことも多い。
- 症状が消えても、うつす力が残っていることがある。
- 治療しないと、不妊の原因になったり、神経や心臓などに重い合併症や後遺症を残したりすることがある。
- 粘膜が傷つくと、HIVなどほかの感染症にもかかりやすくなることがある。
- 妊娠できる年代の女性が感染すると、赤ちゃんにうつって、生まれつきの障害につながることがある。
つまり、「何も症状がないから大丈夫」とは言えません。一方で、同じページは、多くの性感染症は治療できるとしています。心配な出来事があったときは、早めに検査や受診につなげることが、自分とパートナーを守ることになります。
保健所ではどんな検査が受けられる?
厚生労働省のページと、厚生労働省のサイトにある検査・相談マップによると、保健所の検査には次の特徴があります(2026年10月22日時点)。
- HIV検査は無料・匿名で受けられる。
- 梅毒・クラミジア・淋菌などの検査も、同じ保健所で受けられる場合がある。ただし、調べられる項目は保健所ごとに違い、一部は有料のこともある。
- 予約が要る保健所がある。夜間や休日の検査、女性向けの日(レディースデー)を設けている所もある。
- 住んでいる地域以外の保健所でも、検査を受けられる。
検査の方法は病気や症状によって違い、血液の検査、目で見る診察、尿の検査、おりものの検査などがあります。行く前に、厚生労働省の「性感染症検査・相談マップ」や「HIV検査・相談マップ」で近くの保健所を探し、受けられる項目と予約の要否を電話で確かめておくと安心です。
病院で調べるときは何科に行く?
性感染症検査・相談マップは、病院やクリニックで受ける場合の診療科として、性病科・感染症科・泌尿器科・婦人科・皮膚科・耳鼻咽喉科を挙げています。のどの症状なら耳鼻咽喉科、皮膚の症状なら皮膚科というように、気になる場所によって窓口が変わります。
アフターピルを受け取るために産婦人科を受診するときに、あわせて相談することもできます。日本産科婦人科学会の指針は、性暴力やコンドームの破損などでは性感染症も起こりうるため、必須ではないものの、医師が性感染症のリスクを説明し、機会をみて検査や子宮頸部の細胞診(子宮の入り口の細胞を調べる検査)を勧めるとしています。
どの科でも、何があったかを細かく話す必要はありません。「感染の心配がある」「検査を受けたい」と伝えれば、医師が必要な検査を考えます。
性暴力の被害にあったときは?
警察は、性犯罪の被害者のために、緊急避妊などの費用を公費で負担しています。警察庁の資料によると、対象には性感染症などの検査の費用もふくまれます。範囲や手続きは都道府県の警察ごとに違うことがあるので、事件を担当する警察に確かめてください。
だれに話せばよいか分からないときは、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの全国共通番号「#8891」に電話できます。通話料は無料です。くわしい窓口と受付時間は、性暴力の被害にあったときの相談先にまとめています。
だれかに相談したいときの公的な窓口は?
検査を受けるかどうか迷っているときや、パートナーに話しにくいときは、次のような公的な窓口があります。
- 保健所: 検査だけでなく、相談も受けています。厚生労働省の検査・相談マップから、電話の相談窓口も探せます。
- 性と健康の相談センター: 都道府県や市などの窓口で、性や妊娠の悩みを相談できます。こども家庭庁のページで、都道府県・相談の内容・方法から探せます。
この記事では、民間の検査キットや特定の医療機関は紹介していません。受け先を選ぶときは、国や自治体の情報から探してください。
よく出る疑問
保健所の検査は名前を言わずに受けられますか?
厚生労働省の検査・相談マップによると、保健所のHIV検査は無料・匿名で受けられます。ほかの性感染症の検査の扱いや費用は保健所ごとに違うので、事前に確かめてください。
低用量ピルを飲んでいれば、感染は防げますか?
防げません。低用量ピルの添付文書にも、性感染症を防止するものではなく、感染を防ぐにはコンドームの使用が有効だと書かれています。
パートナーも検査を受けたほうがいいですか?
厚生労働省のページは、感染した人が気づかないままパートナーにうつしてしまうことがあると注意をうながしています。心配なときは、2人それぞれが保健所や医療機関で相談してください。
いつ検査を受ければ結果が分かりますか?
病気の種類や検査の方法によって、調べられるようになるまでの期間は違います。この記事では期間の数字を確かめられなかったので、保健所や医療機関に、心配な出来事があった日を伝えて相談してください。
- 緊急避妊法の適正使用に関する指針(令和7年改訂版・2025年4月)|日本産科婦人科学会(2026年10月22日に確認)
- 性感染症|厚生労働省(2026年10月22日に確認)
- 性感染症検査・相談マップ|厚生労働省サイト内(2026年10月22日に確認)
- HIV検査・相談マップ|厚生労働省サイト内(2026年10月22日に確認)
- 経口避妊剤(レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール錠)の添付文書の一例(2026年8月改訂 第2版)|PMDA(2026年10月22日に確認)
- レボノルゲストレル放出子宮内システムの添付文書(2023年6月改訂 第2版)|PMDA(2026年10月22日に確認)
- 性や妊娠などの悩みについての相談窓口(性と健康の相談センター)|こども家庭庁(2026年10月22日に確認)
- 犯罪被害者等施策「性的な被害」|警察庁(2026年10月9日に確認)
- 性犯罪・性暴力に関する相談窓口(ワンストップ支援センター)|内閣府 男女共同参画局(2026年10月9日に確認)
このページは、添付文書や国・学会の資料など公開された情報をまとめたものです。一人ひとりの状況(飲めるかどうか・妊娠の可能性)は判断できません。飲むかどうか、飲んだ後のことは、医師か薬剤師に相談してください。当サイトは医療機関・薬局の紹介も、薬の販売もしていません。