低用量ピルとアフターピルの違い|続けて使う避妊法との関係
低用量ピル(OC、経口避妊薬)は、毎日飲んで前もって妊娠を防ぐ薬です。アフターピルとは、使う時期も目的も違います。この記事では、PMDAに載っている添付文書と日本産科婦人科学会の指針から、違いを情報として整理しました。どの方法を選ぶかを勧めるものではありません。
- 日本産科婦人科学会の指針は、緊急避妊は、低用量ピルなどのように前もって計画的に妊娠を避ける方法とは根本的に異なるとしています。
- 低用量ピルは処方箋医薬品で、医師の処方が必要です。1日1錠を毎日決まった時刻に飲みます。
- 添付文書には、飲み忘れをふくめた一般的な使い方での1年間の失敗率は7%との報告が書かれています。
- どちらの薬も、性感染症は防げません。
低用量ピルとアフターピルは何が違う?
どちらも黄体ホルモンの成分をふくむ薬ですが、使う場面がまったく違います。PMDAに載っている添付文書と学会の指針から、違いを表にしました。
| 低用量ピル(OC) | アフターピル(緊急避妊薬) | |
|---|---|---|
| 使う時期 | 前もって、毎日続けて | 避妊に失敗したあと、72時間以内に1回 |
| 飲み方(添付文書) | 1日1錠を毎日一定の時刻に。28錠の製品の例では28日を1周期としてくり返す | 1錠を1回 |
| 目的 | 計画的に妊娠を避ける | 緊急のときに妊娠を避ける |
| 手に入れ方 | 処方箋医薬品(医師の処方が必要) | 医療用は処方。薬局の要指導医薬品は薬剤師の前で服用 |
| 性感染症 | 防げない | 防げない |
医療用のアフターピルの添付文書も、この薬は計画的に妊娠を避けるためのものではないとしています。アフターピルの手に入れ方は手に入れる3つの方法で取り上げています。
低用量ピルはどうやって妊娠を防ぐ?
添付文書の例によると、低用量ピルは排卵を止める働きが中心です。そのほかに、子宮内膜(子宮の内側の膜)を変えて受精卵が着床しにくくする働きと、子宮の入り口の粘液を変えて精子が通りにくくする働きがあるとされています。
この働きは、毎日飲み続けて体の中のホルモンの状態を保つことで生まれます。添付文書の例では、初めて飲むときは生理が始まった日から飲み始め、遅れて始めた場合は最初の1週間はほかの避妊法をいっしょに使うよう書かれています。アフターピルが体の中で何をするかは、効く仕組みのページにあります。
避妊法ごとの失敗率はどのくらい?
低用量ピルの添付文書の例には、海外の文献をもとに、いろいろな避妊法を使い始めて1年間の失敗率(妊娠した割合)が載っています。「理想的な使用」は正しく続けて使った場合、「一般的な使用」は飲み忘れなどもふくめた実際の使い方の場合です。
| 方法 | 理想的な使用 | 一般的な使用 |
|---|---|---|
| 経口避妊剤(低用量ピル) | 0.3% | 7% |
| レボノルゲストレル放出子宮内システム | 0.3% | 0.4% |
| 銅付加IUD | 0.6% | 0.8% |
| コンドーム | 2% | 13% |
| リズム法(周期から日を数える方法) | 0.4〜5% | 2〜23% |
| 避妊しない | 85% | 85% |
出典: 経口避妊剤の添付文書の一例(2026年8月改訂 第2版)の「その他」の表から一部を抜き出しました。海外の文献の数字で、日本の人だけを調べたものではありません。
この表から分かるのは、同じ方法でも、使い方によって失敗率が大きく変わることです。低用量ピルでは、飲み忘れが失敗の大きな原因になります。また、学会の服用者向け資料は、アフターピルを何度も使っても、低用量ピルを続けて使う人より妊娠する割合はかなり高いとしています。どの方法が合うかは、体の状態や暮らし方で変わるので、医師と相談して決めるものです。
低用量ピルを使えない人・注意が要る人は?
低用量ピルの添付文書の例には、使ってはいけない人(禁忌)が20項目挙げられています。主なものは次のとおりです。
- 35歳以上で1日15本以上たばこを吸う人
- 前ぶれ(目の前がチカチカするなど)をともなう片頭痛がある人
- 血栓性静脈炎・肺塞栓症・脳血管障害・冠動脈疾患がある人、または以前にあった人
- 血栓ができやすい体質の人、手術の前後や出産後4週以内など
- 重い肝臓の病気がある人、軽いものを除く高血圧がある人
- 妊娠している人、授乳中の人、骨の成長が終わっていない可能性がある人
添付文書の例では、飲み始める前に病歴を聞き、血圧測定や乳房・おなかの検査などの検診をすること、飲んでいる間は6か月ごとに検診をすることも求めています。アフターピルの禁忌(3項目)とは数も中身も違うので、アフターピルの副作用と飲めない人と混ぜないでください。
低用量ピルで気をつける血栓症とは?
血栓症は、血管の中に血のかたまりができて、血の流れが止まる病気です。添付文書の例は、年齢やたばこ、体重、家族の病歴などにかかわらず、血栓症が起こることがあるとしています。
次のような症状が出たときは、すぐに飲むのをやめて救急医療機関を受診するよう、飲む人に説明することになっています。
- 足の急な痛みやはれ
- 突然の息切れ、胸の痛み
- 激しい頭痛
- 手足の力が入らない・まひ、言葉が出にくい
- 急に見えにくくなる
添付文書の例によると、海外の調査では、飲んでいる女性の静脈血栓症のリスクは飲んでいない女性の3.25〜4.0倍と報告されています。リスクは飲み始めの1年がいちばん高く、4週間以上休んでから再び飲み始めたときにも上がるとされています。
アフターピルの後に低用量ピルを始めるときの学会の考え方は?
アフターピルを飲んでも、その生理の周期の残りの期間の避妊は守られません。学会の指針は、医師がその後の避妊について次のように助言するとしています。ここに書くのは指針の内容で、一人ひとりの飲み方は処方する医師が決めます。
- 医師は、ふだんの避妊法を始めるよううながす。妊娠していないことがはっきりしていれば、周期にかかわらず低用量ピルを始めることができる。
- アフターピルで排卵が遅れることがあるので、次の生理までは性交を控えるか、低用量ピルを飲むなどして避妊するよう指導する。指針のQ&Aには、服用の翌日から21日間(早く妊娠を否定したいときは14日間)飲む方法が書かれている。
- 低用量ピルを始めて最初の1週間は、コンドームなどを併用する。
- 低用量ピルをやめて1週間くらいたっても出血がなければ、妊娠を疑う必要がある。
もともと低用量ピルを飲んでいて、飲み忘れのためにアフターピルを使った場合の再開の目安は、飲んだ後のページにあります。
低用量ピルを飲み忘れたら?
飲み忘れの扱いは、製品ごとに添付文書で決められています。この記事で確かめた添付文書の例では、次のように書かれていました。
- 翌日までに気づいたら、すぐに忘れた分を飲み、その日の分もいつもどおり飲む。
- 2日以上続けて飲み忘れたら、飲むのをやめ、次の生理を待ってから再開する。その周期は、ほかの避妊法を使う。
学会の指針は、低用量ピルの飲み忘れや、下痢などで薬が吸収されなかったときを、緊急避妊が必要になる場面の一つに挙げています。また、肝臓の薬物代謝酵素を強める薬を飲んでいる間と、やめてから28日間は、ホルモンを使う避妊法の効果が弱まるおそれがあるとしています。飲み忘れに気づいたときや、ほかの薬を飲み始めたときは、処方した医師か薬剤師に相談してください。
よく出る疑問
低用量ピルは薬局で買えますか?
低用量ピルは処方箋医薬品なので、医師の処方が必要です。2026年10月22日時点で、処方箋なしに薬局で買える要指導医薬品になっているのは、アフターピル(緊急避妊薬)のほうです。
低用量ピルを飲んでいれば、アフターピルは要りませんか?
低用量ピルは、毎日飲んで前もって妊娠を避ける方法です。ただ、学会の指針は、飲み忘れや下痢などで吸収されなかったときを緊急避妊が必要になる場面に挙げています。迷ったときは、処方した医師に相談してください。
アフターピルを毎回使うのは、低用量ピルの代わりになりますか?
代わりにはなりません。学会の資料は、アフターピルをくり返し使っても、低用量ピルを続けて使う人より妊娠する割合はかなり高いとしています。続けて使う避妊法は、医師と相談して選ぶものです。
低用量ピルで性感染症は防げますか?
防げません。添付文書には、性感染症の予防にはコンドームの使用が有効だと説明するよう書かれています。検査と相談先は性感染症の検査のページにあります。
- 経口避妊剤(レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール錠)の添付文書の一例(2026年8月改訂 第2版)|PMDA(2026年10月22日に確認)
- 緊急避妊法の適正使用に関する指針(令和7年改訂版・2025年4月)|日本産科婦人科学会(2026年10月22日に確認)
- ノルレボ錠1.5mg 添付文書(医療用・2022年2月改訂 第2版)|PMDA(2026年10月9日に確認)
このページは、添付文書や国・学会の資料など公開された情報をまとめたものです。一人ひとりの状況(飲めるかどうか・妊娠の可能性)は判断できません。飲むかどうか、飲んだ後のことは、医師か薬剤師に相談してください。当サイトは医療機関・薬局の紹介も、薬の販売もしていません。