緊急避妊薬の試験販売では何がわかった?国の調査の数字
2023年11月28日から2026年2月1日まで、緊急避妊薬は国の調査として一部の薬局で試験的に売られていました。厚生労働省が公表した3年度分の報告書の概要から、わかったことを数字で整理します。
- 購入者の満足度は、薬剤師の対応・説明・プライバシーへの配慮で高く、支払った費用だけが低い傾向でした。
- 来局の時間は9時から19時台に集中し、夜間・早朝はごく少数でした。
- 購入者の多くは20〜39歳で、16〜19歳は約1割でした。
試験販売はどんな調査だった?
当時、緊急避妊薬は医師の処方が必要な薬でした。2020年12月25日に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画で、処方箋なしで使えるよう検討することになり、国はその課題を調べるために試験販売を始めました。
調査は日本薬剤師会が研究事業として行い、条件を満たす薬局を選んで試験的に売りました。目的は、薬局で売る薬にしたときに、きちんとした売り方を保てるかを確かめることです。
2023年度の協力薬局は全国145で、次の4つの条件で選ばれていました。
- オンライン診療にもとづく緊急避妊薬の調剤の研修を終えた薬剤師が売れること
- 夜間と土日祝日にも対応できること
- 個室など、プライバシーを守れる場所があること
- 近くの産婦人科医などと連携できること
2024年9月25日からは協力薬局が339に増え、2026年2月1日まで続きました。
年度ごとに何を調べた?
| 年度の報告 | おもな期間 | 薬局の数 | おもな数字 |
|---|---|---|---|
| 2023年度 | 2023年11月28日〜2024年1月31日の販売分 | 145 | 販売実数 2,181 |
| 2024年度 | 2023年11月28日〜2025年1月31日(改善した調査は2024年9月25日から) | 339 | 販売数 6,813 |
| 2025年度(最終) | 2023年11月28日〜2026年2月1日の全期間 | 339 | 販売できるか判断した数 12,268 |
2025年度の「12,268」は、薬局で販売できるかを判断した数です。2023年度・2024年度の販売数とは数え方が違います。
2023年度は、販売数が少なく都道府県ごとの差が大きいことが課題とされました。2023年度は東京都(266)と神奈川県(231)が200を超え、2024年度は約半数の都道府県で100を超えました。最終の報告では、35の都道府県で100を超えています。
いつ買いに来る人が多かった?
2023年度と2024年度の概要では、来局の時期や曜日に大きなばらつきはなく、時間はおおむね9時から19時に集中していました。21時から8時までの夜間・早朝の来局は、全体の2%程度でした。
全期間をまとめた最終の概要では、曜日は月曜日が多い傾向で、時間帯は全体の約95%が9時から19時台でした。
2023年度には、「公表した営業時間内に売れないことがあった」と答えた薬局が40あり、その半数以上が研修を受けた薬剤師がいなかったことを理由に挙げています。今も、行く前に電話で確かめるよう国が勧めているのはこのためです。探し方は薬局の一覧の見方のページにあります。
どんな人が買っていた?
購入者の年齢は、多くが20〜39歳でした。16〜19歳は、2024年度で9%程度、全期間で約10%でした。試験販売の対象は16歳以上の本人に限られていたため、16歳未満の人の数字はありません。
全期間では、以前に緊急避妊薬を飲んだことがある人が約32%で、そのうち3割は2回以上飲んだことがありました。
2024年度には、16歳未満の人からの問い合わせがあった薬局が13、薬剤師の目の前で飲むことを断ったために売れなかった人がいた薬局が11ありました。
買った人の満足度はどうだった?
2023年度の購入1,643件では、「とても満足」と答えた人の割合は次のとおりでした。
| 項目 | 「とても満足」の割合 |
|---|---|
| 面談した薬剤師の対応 | 91.8% |
| 説明のわかりやすさ | 89.5% |
| プライバシーへの配慮 | 84.8% |
| 服用するまでの手続き | 76.1% |
| 支払った費用 | 38.4% |
値段は7,000〜9,000円の範囲で各薬局が決めており、支払った人の99.5%がこの範囲でした。費用への満足度が低い傾向は、医師の処方を受けた人でも同じように見られました。今の費用の考え方は費用のページにあります。
説明を「よく理解できた」と答えた人は99.8%でした。購入から3〜5週間後のアンケートでは、次に必要になったときに「医師の診察を受けずに、薬局で薬剤師の面談を受けてから飲みたい」と答えた人が82.2%でした。
飲んだ後の確認はできていた?
2023年度は、購入者の約85%が、3〜5週間後に産婦人科を受診せず、妊娠検査薬での確認もしていなかったことが課題とされました。受診しなかった理由で一番多かったのは「生理が確認できたから」(78.8%)です。
そこで2024年度は、服用からおよそ3週間後に妊娠しているかを確かめるよう、説明を徹底しました。その結果、6割が「確認した」、2割が「これから確認する」と答えています。確認の方法は、別に買った妊娠検査薬が59.3%、同時に買った妊娠検査薬が37.5%、産婦人科の受診が3.4%でした。
出血があっても、それだけでは避妊できたかどうかは判断できません。確かめ方は妊娠検査のページと飲んだ後のページにあります。
薬局はどう判断していた?
全期間では、「販売可」が約95%、「販売可とするが受診が必要」が約4%、「販売不可」が約1%でした。産婦人科医への紹介は3.3%、性暴力の被害者を支えるワンストップ支援センターの情報提供は2.1%で行われています。
2023年度は、販売できるかを確かめるチェックリストについて、約9割の薬局が判断しやすかったと答えた一方、「妊娠の可能性」の項目を直すべきという声が約半数ありました。2024年度に資料を見直して追加の研修を行うと、直すべきという意見は90%から76%に下がりました。
最終年度は、売るのが難しかった場面の報告を集めることに力を入れ、41都道府県の94施設から206件が集まりました。これをもとに、薬剤師向けの質問と答えの資料が作られています。
調査の結果は今の制度にどうつながった?
試験販売で使われた「研修を受けた薬剤師が売る」「プライバシーに配慮した場所で話す」「その場で飲む」「近くの産婦人科と連携する」「約3週間後に確かめるよう伝える」という形は、今の要指導医薬品の売り方の条件に近いものになっています。
一方で、年齢と同意の条件は大きく変わりました。今は年齢の制限がなく、親の同意もいりません。制度の流れは緊急避妊薬の歩みのページで年表にしています。
よく出る疑問
試験販売は今も続いていますか?
続いていません。2026年2月1日に終わりました。2026年2月2日からは、要指導医薬品として、国の一覧に載った薬局で売られています。
試験販売のころの値段は今も同じですか?
試験販売では7,000〜9,000円の範囲で各薬局が値段を決めていました。今の薬にはメーカー希望小売価格がありますが、売値は店ごとに違うことがあります。費用のページを見てください。
報告書の全文はどこで読めますか?
調査事業の結果報告書のページ(厚生労働省)に、年度ごとの概要と報告書のPDFが載っています。このページは概要の数字をもとにしていて、報告書の本体のくわしい表までは使っていません。
調査に参加した薬局は今も売っていますか?
試験販売の協力薬局と、今の販売が可能な薬局は別の仕組みです。今売っているかどうかは、厚生労働省の今の一覧と、薬局への電話で確かめてください。
- 緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る環境整備のための調査事業 結果報告書(厚生労働省・掲載ページ)(2026年10月22日に確認)
- 令和5年度 緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業報告書(概要)(厚生労働省・2024年5月10日掲載)(2026年10月22日に確認)
- 令和6年度 緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業報告書(概要)(厚生労働省・2025年5月14日掲載)(2026年10月22日に確認)
- 令和7年度 緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業報告書(概要)(厚生労働省・2026年8月18日掲載)(2026年10月22日に確認)
- 令和5年度 同調査事業 報告書(厚生労働省・2024年5月10日掲載。試験販売の対象者の条件)(2026年10月9日に確認)
- 第5次男女共同参画基本計画(内閣府 男女共同参画局・2020年12月25日閣議決定)(2026年10月22日に確認)
- 緊急避妊薬のスイッチOTC化について(厚生労働省 部会資料・令和7年8月)(2026年10月9日に確認)
- 要指導医薬品である緊急避妊薬の販売に関する通知(令和7年9月18日 医薬総発0918第2号・医薬薬審発0918第3号、厚生労働省)(2026年10月9日に確認)
- 要指導医薬品である緊急避妊薬の販売が可能な薬局等の一覧(厚生労働省・2026年10月1日更新)(2026年10月22日に確認)
このページは、添付文書や国・学会の資料など公開された情報をまとめたものです。一人ひとりの状況(飲めるかどうか・妊娠の可能性)は判断できません。飲むかどうか、飲んだ後のことは、医師か薬剤師に相談してください。当サイトは医療機関・薬局の紹介も、薬の販売もしていません。